「生活モデル」ではなく

「生活モデル」ではなく       2015年8月25日分

「訪問看護でいきいき働く」(メヂィカ出版、2015、共著)という本を出版したが、この本を贈呈させていただいた方から、感想や助言などいろいろなお返事がある。(全く何もない人もいます)
その中で、日本福祉大の学長の二木立先生から以下のようなアドバイスをいただいた。二木先生は、毎回貴重なご意見・感想を必ず下さる。とても貴重なアドバイスで感謝している。

「生活モデル」について
 私は講演で、あるいは著書の中でも“病院・病棟での看護”と“在宅・生活の場での看護”の違いについて、『医療モデル』と『生活モデル』という表現をしてきた。「訪問看護は、医療・延命優先の『医療モデル』ではなく、“生活”“生きがい”などがキーワードとなり本人らしく豊かな生き方を支援するいわば『生活モデル』での展開が必要になります」などと説明してきました。
 それに対して、以下、二木先生からの助言です。

「生物・心理・社会的」アプローチ
本の中で「医療モデル」、「生活モデル」という多義的用語を、説明なしに使われていることに、抵抗を感じました。在宅医療・訪問看護を含め、今後の医療で求められているのは、社会保障制度改革国民会議報告書が提起した、「治す医療」から「治し・支える医療」(cure &care)への転換であり、「医療モデル」から「生活モデル」へ(cure からcareへ)の転換ではないと思います。
御参考までに、ICF(国政生活機能分類)は、「医療モデル」から「社会モデル」への転換ではなく、両者を統合した「生物・心理・社会的」アプローチを用いています。今年の介護報酬改定におけるリハビリテーション全体の再評価においても、このICFの視点が貫かれています。

看護職にとっては・・・
 ですので、「治し・支える医療」、「生物・心理・社会的」アプローチというように表現した方がいいのだと思います。
 しかし、看護職にそのことを伝えるのには、『「医療モデル」から「生活モデル」への転換』の方が分かりやすいような気もします。『「医療の場」から「生活の場」での看護・支援の重要性』ということかな。そうであればそう表現すればいいのかな。
 
それにしても勉強不足・情報不足をご指摘・ご指導いたきありがとうございます。