「複合型サービス」その後
「複合型サービス」その後 2014月4月25日分
一昨年の4月(2012年4月)に新設された「複合型サービス」のその後について、知る範囲で紹介します。
2年間で137箇所開設
2014年3月末現在、複合型サービスの開設数は全国で137箇所です。まだ未設置の県も数箇所あります。2年間でこの数字はどう評価すればいいでしょうか。“これだけか”“こんなにできたの”どちらでしょうか?
私が所属している全国訪問看護事業協会はこのサービスの設置を推進する立場で、様々な支援活動を実施してきました。開設支援セミナーの実施、開設相談、運営相談、見学先紹介・・・。たくさんの複合型サービスの見学にも行っていますし、これからも行きます。
開設数も大事なのですが、そのやり方・サービスの質についても把握してきましたが、このサービスの新設の目的に沿って運営しているところもありますが、そうではないところも見受けられます。とても心配な運営をしているところもあるのが実態です。
2枚看板が全体の約60%
全国訪問看護事業協会での調査からわかった大まかな全国の動きの概要をお伝えします。
◆法人別開設状況
営利法人約47%(株式会社30%、有限会社)、医療法人24%、社会福祉法人15%、公益社団5% その他1%
◆1枚看板か2枚看板か
複合型サービスだけを実施しているのを『1枚看板型』といい、複合型サービスと併設で看護師兼任での訪問看護ステーションも実施しているところを『2枚看板型』と読んでいます。その割合は、全国の複合型サービスの約60%は2枚看板です。
大きな成果・効果
平成25年度厚生労働省の老人保健健康推進事業(研究事業)の一つとして、複合型サービスの実態調査が行われ、その成果・効果が示され、公式な会議の場で報告されましたが、当初の目的にそってこの制度の意味が確認されたことになります。
その内容は、医療ニースの高い利用者が病院への入院や介護施設への入所ではなく、自宅のある地域で住み続けられ、そしてそこでも人生の終末を過ごし永眠できるサービスになっているということでした。特に、特養ホーム待機中で老人保健施設を転々としていた独居の方が、このサービスを利用することで地域(自宅+複合型サービス)で暮らし続けられることができて、特養ホーム入居申し込みをキャンセルした例や、病院の退院支援室・担当からの問い合わせが多く、医療ニーズのある方が多数紹介されてくるなど、退院支援の受け皿の役割も大きいようです。
訪問看護師の変化も
これまでは、自宅への個別訪問が使命だった訪問看護ですが、複合型サービスを併設することになり、訪問看護師たちが変わってきたという報告も耳にします。お泊りや日帰りサービスも合わせて実施することにより、自宅訪問では把握できなかった『面』でのその方の生活や、あるいは夜間の様子なども見えるようになり、自分達が昼間の一定時間しか見ていなかったことに気づき、とても勉強になっていること。また始めはこのサービスにあまりいい印象を持っていなかった訪問看護師たちが実際に行ってみると自分達の想像以上の様々な成果が見えて、意識が変わってきたことなどが述べられています。
地域包括ケアに欠かせない『複合型サービス』
地域包括ケアの時代に、絶対に有効に機能すると思われる『複合型サービス』。自治体の『介護保険事業計画』に位置づけられて、質の高いサービスを実施できる事業者に実施していただきたいです。
自治体も実施する事業者も内容・このサービスの意味が周知されていないことが最も大きな問題です。