『あなたも地域看護のフロントランナー』
『あなたも地域看護のフロントランナー』
11月5日分
このタイトルの本が、本日11月10日出版になります。サブタイトル「挑み続ける保健師から」、オビが「こんなおもしろい保健師がいる!」という本です。著者は、望月弘子先生と私です。出版社は、日本看護協会出版会(1800円)。
ご縁があり望月弘子先生のご本を作るサポート役をさせていただきました。日本の保健師の第一人者であり、山梨県看護協会会長・日本看護協会副会長でいらっしゃった望月弘子先生です。知り合いになったいきさつなど詳しくは本の中でご覧いただければと思います。
目次は次のようです
第1章 道を拓く、制度を創る、人を動かす
第1話 生きる力が蘇った結核患者
――自己解決能力引き出し支援
第2話 「マザー&チャイルドセンター」を
――生き生き「共同助産所」の経験から
第3話 母子保健活動は「人間づくり」のもと
――「愛育会」の活動
第4話 みる力・創造力で開拓していこう
――地域・地区に徹底的にこだわった保健師教育
第5話 あなた(保健師)が動けば、町・村は変わる!
――山梨県市町村派遣保健師制度創設
第6話 訪問看護制度化への31年
――全国に先駆けての取り組みの挑戦
第7話 保健師活動もエビデンスをベースに
――勤務時間内での研究活動を認めてもらうために
第8話 看護大学開設のかげに
――力がなければ力のある人に頼み実現する
第9話 看護の発展の鍵を握る看護協会活動
――横糸と縦糸から紡ぎ出されるパワー
第10話 住民と共に築く豊かなまちづくり
――〝自分たちで〟の応援団を自負しよう
第2章 座談会 「本物」であることにこだわって
望月弘子・村島幸代・新藤京子・岡利香・宮崎和加子(司会)
誰が読んでもわかりやすい本です ぜひに!
日本に、看護師は約130万人います。その内訪問看護師は約3万人。保健師は約4万人です。病院・医療の中の看護師は130万人もいるのですが、それでも足りなくて病棟閉鎖をしている病院もあります。一方、家で暮らす要介護・要看護の方々を支える訪問看護師は3万人に満たず、これまた全国どこでも人手不足で住民の方の希望にそった活動がなかなかできず、疲労困憊している・・・。では、保健師は何をする仕事か? 現在どういう仕事をしているかということもおもしろいですが、本来保健師は何をする専門職なのかをぜひいっしょに考えましょう。
この本は、そのことを描いている本です。保健師の活躍で日本の国民がどれだけ健康を維持できるか・・・。安心して自覚的に生きられるか・・・。
看護職というのは、日本では、3つの職種です。保健師・助産師・看護師で、それが法制度化されたのが、60年前の昭和23年です。通称「保助看法」といっています。明治時代中期に誕生した日本の看護師(近代的看護)は約120年の歴史があります。しかし、第2次世界大戦終戦後、GHQ(進駐軍)の指導でまったく新しい看護教育が日本で始まります。その中で法制化された「保助看法」です。今年は、「保助看法」制定60周年記念で様々な催し物が行われています。この本も結果的にその一環となりました。
私の考えでは、保健師も訪問看護師も、時に助産師も役割はほとんどいっしょです。病院や施設内ではなく、地域・自宅で生活する人々を支えていく仕事です。生まれる・病気をする・障害を持つ・老いる・死ぬ、よくいわれる『生老病死』のときに生活を基盤とした何かを支援をする専門職です。それぞれの歴史・誕生の経緯はあるのですが、足りない人数でも住民のみなさんに役立つように、頭をやわらかくして知恵を絞って取り組まなければと思います。
保健師さんだけではなく、訪問看護師、助産師いいえ全看護職に読んでいただきたい内容です。望月先生の長年の実践・取り組みを紹介しながら、それを過去の話ではなく、現代と結びつけて、看護職が何を基盤に考え実行していくべきかを描いたつもりです。いっしょにやらせていただいた私自身が一番勉強になりました。看護職以外の方もぜひ! 専門用語は少なく、どなたでもよみやすい、いい本です!
感想も聞かせてください。
『あなたも地域看護のフロントランナー』 ~挑み続ける保健師から~
著者:望月弘子・宮崎和加子 発行:日本看護協会出版会 定価:1800円