『訪問看護実務相談Q&A』出版
『訪問看護実務相談Q&A』出版 9月5日分
今年は、単行本を何冊か出版予定です。まず、第1冊目が9月20日付で出版されます。題名は、『三訂・訪問看護実務相談Q&A』中央法規出版です。
この本は、社団法人・全国訪問看護事業協会が編集し責任を持って世に出すもので、当協会の担当者が共同で編集・執筆しました。担当した13名は、現場の訪問看護ステーションの所長さんたちが主です。当協会の週1回の電話相談で電話での相談を担当をしているベテラン所長さん。私は、当協会の事務局の仕事を行っているので、この本のまとめにかなりの時間とエネルギーをかけました。
訪問看護と『医療保険』『介護保険』
この本のオビに書いてあるのは、「この1冊で、訪問看護制度・運営の全体がわかる」「介護保険・医療保険の訪問看護の最新情報を網羅」「訪問看護の迷いや疑問にお答えします」です。訪問看護をめぐる制度の解釈が難しいために、その確認や疑問の電話相談がとても多いのです。今年の4月(2009.4改訂)に介護保険の報酬改訂があり、かなり変更がありました。その内容を追加し、新しい改訂版として出版したものです。
昨年、医療保険の改訂があり、昨年度1年間の電話相談が約1000件あり、それを分析・選択・整理し、それまであったQ&Aと合体し、全部整理し、結果的に415個のQ(質問)に対してA(答え)を厚生労働省に確認をして、正確に解釈し著述したものです。
Q&Aだけではなく、制度の概要や年度別改訂の内容、関係法令・厚生労働省の通知などの原文も掲載されています。訪問看護事業を行う上でなくてはならない本であり、事務職にも必携のものです。
訪問看護事業は、医療保険と介護保険の二つの保険にまたがった事業です。利用者の8割は介護保険の対象者、2割が医療保険の対象者です。年齢・病名・状態によりどの保険の対象者なのかが決まっています。しかし、状況によって同じ月に2つの保険を利用する場合もあるのです。
二つの保険の中で複雑な仕組みの『訪問看護』
この本作りをする中で、一番思ったことは、“なんと複雑になってしまったか”ということです。1992年に訪問看護ステーションがスタートしたときには、非常にシンプルでわかりやすい制度でした。それが、介護保険ができて両方の保険にまたがり、両方の制度・報酬改定のたびによりよいものにするために現場からの要望事項を厚生労働省に提出し、改善されてきたのです。そのことはとても大事なことでよいことなのですが、結果的に非常に複雑で分かりにくい内容になってしまっているのです。利用者にもケアマネにも、そして当の本人の訪問看護師にも理解しにくいほどの難しさです。
たとえば、どちらの保険の対象者かを理解し覚えるだけでも大変なのに、場合により同じ月に医療保険と介護保険の両方を利用する人がでてくるのです。それは医師から「特別訪問看護指示書」が発行された場合です。もともと介護保険の対象の方が、急性憎悪等で頻繁に訪問看護が必要になった場合に「特別訪問看護指示書」が発行されます。そうすると、その日から医療保険の対象になるのです。利用者は、その仕組みを理解することが必要になり、自己負担の違いも覚えなければなりません。請求書が2種類発行されることになります。
様々な加算の条件も名称も微妙に違っていていて、わかっていても頭がこんがらがってしまいます。
「医療保険」へ一本化を?!
この本作りをする中で、色々考えました。それ以前からも考えていましたし、他の事情もいろいろあるのですが、解決策を大胆に提案しなければならないなあと思っています。
まだあいまいな部分はあるのですが、結論からいうと、『訪問看護サービスは、介護保険を外れて医療保険だけにしましょう』という意見が今の私個人の提案です。これは、次に出版される著書(たぶん、11月ころ)の中で詳しく展開しています。
関係者の方は、ぜひ『三訂・訪問看護実務相談Q&A』中央法規出版 をお手元に!
「中央法規出版」「全国訪問看護事業協会」などのホームページからでも。