イタリア視察雑記3
イタリア視察雑記3 2015年10月15日分
社会COOP(社会協同組合)
COOPというと、日本では生協(生活協同組合)。一般市民が集まって生活レベルの向上を目的に各種事業を行う協同組合である。消費協同組合もあれば、大学生協、農協、映画生協もあれば医療生協もある。
イタリアの社会協同組合
精神病院から出て地域で生活するといっても何をするか。当然、地域で生活をするためには仕事が必要。そこで、トリエステではバザーリアの改革の中で、1988年に社会協同組合を設立(独立)した。 精神障がい者も含めて社会的に不利な立場の人々のための生活協同組合である(現在18ヶ所)。それは、就労のための訓練の場であり、就労の場であり、就労のための仕事を生み出す場になっているそうです。
社会協同組合は幅広い職種をカバーしていて、清掃、ビル管理、運輸、家具、デザイン、カフェ、ケイタリング、ホテル・レストラン、ビーチ・リゾート運営、園芸、手芸、写真・映像・ラジオ運営、コンピューターサービス、セリグラフィー、行政サービスなどなど。精神障がい者・他の障害者・一般人を含め、1500人~1600人が働いているとのこと。
FMラジオ局視察
社会協同組合がラジオ局を開設し国民に発信していた。「FRAGOLA」といい、全国ネットとウェブを使って24時間放送され、トリノやローマ等9つの局ともネットワークで結ばれている。運営スタッフは、正規職員2人(社会コープの職員)とボランティア。DJが70人(利用者も含めてほとんどの人が精神医療関係の人)。
週1回は、精神障がい者本人や支援者が生出演し、55分間の会話実況放送を行っている。出演者が番組のタイトルや話す内容を自分自身で決め、自由に話すことができるという。ある日のフェイスブックのフォロワー数は、1,000人に達していたという。
国民のどのくらいに人がこのFM放送を聞いているのかと尋ねたところ、全国どこでも聴くことができるため、若い人たちにも幅広く知られていて、リスナー数の統計はありませんが、電話受信件数から13,000人程度と推計していると。
様々な意味で、『ラジオ局開局』ということも視野に入れていくといいなあと参考になった。
仕事を作ってしまう! 同一労働同一賃金
就労支援しても、就労の場がなければ就労の場を作ろう!と、バザーリアたちが社会協同組合を作ってしまう、このエネルギーがすごい! 職種も多種多様。みんなで理解し合い、カバーしながら仕事をしていくので、働き続けることができる可能性が大きいだろう。
私たちが食事をしたレストランも社会協同組合の仕事だった。数人働いていたが、誰が精神障がい者なのかは全く分からなかった。(当然だが)
そして、イタリアのすごいところは、国全体が「同一労働同一賃金」ということが法律で定められているので、障害者でも障害がない人でも、たとえばウエイトレスであれば、国中同じ賃金なのだそうだ。これはイタリアの労働運動などとも大いに関係があるとのこと。
なるほど・・・。