キーワード「住み替え」
キーワード「住み替え」 9月5日分
最近、私は「住み替え」ということを意識しています。私自身が住居を変えるということではなく、日本の国の方向性として「住み替え」がキーワードとなっているようなのです。いろいろなところでこの言葉を耳にし、気にしているのです。
先日もある講演でその話を聞きました。
内閣府政策統括官の講演
先日、『明日の認知症ケアを考える全国フォーラム』という集会がありました。主催したのは、「関東甲信越グループホームなかまの会」という団体で、私が副会長をさせていただいていた「東京都グループホーム連絡会」(現在は、小規模多機能サービスもいっしょになった「東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会」になりました)など、関東周辺のグループホームの団体が一緒になって企画したものです。全国から非常に多くの方が集まり、内容も豊かな集会でした。
その中で、介護保険制度を作るとき、あるいは認知症対応グループホームを制度化するために奮闘された山崎史郎氏(前厚生労働省総務課長、現内閣府政策統括官)が、『グループホームに期待したこと、期待していること』という内容で講演しました。凄まじい忙しさのために睡眠時間をとることができないという状況の中でも、講演に駆けつけてくれたのは、認知症ケアのあり方についてグループホームの職員たちとラフに討論してきたからだと思います。
社会保障は「住まい」に始まり、「住まい」に終わる
山崎氏の講演の要旨はおおむね次のようでした。
◆ 社会保障制度の機能は、所得配分=格差是正
所得格差が大きな問題とはなっているが、実は、地域間格差の問題が最も深刻
10年前に比べて、かなり市町村の力がなくなっている
◆ 限界集落(人口500人未満)が、日本にはたくさんある
◆ 「介護保険」と「後期高齢者医療制度」の大きな違いは何か
→責任感・使命感 「後期高齢者医療制度」は広域連合。市町村は責任感や使命感を感じられない
◆ 社会保障は、「住まい」に始まり、「住まい」に終わるといわれている。
従来、あるいは諸外国では、社会保障としての住宅政策は、2つの方向性で、①住宅手当、②公営住宅建設・提供だ。日本は、「住まい」についての社会保障のあり方(住宅政策)は、公営住宅建設しかしてこなかった。ここに大きな問題点がある。
◆日本は、人口の大移動が始まるというか必要になるかもしれない
日本で、「住まい」についての考え方やその実際に大転換期が来る。
従来の持ち家に生涯住み続けるというライフサイクルではなくなる可能性がある。
◆ 日本は、人口↓ 家族機能↓ これから膨大となる高齢者の介護を誰がどのように支えるのか。一定の効率性や個人のプライバシーや自己実現の尊重を考えると、限界集落の自宅・在宅ケアなどは??? 「住み替え」「集合住宅」がキーワード。
◆ どうして商店街がシャッター通りになっているか。
郊外に大型スーパーができたからだとよくいわれるが、本当にそうだろうか。
ある商店街が、郊外に大型スーパーがあるのに、すごくにぎわって活性化したという。それは、商店街は、1階は店、2階が住居になっている。高齢になり商売ができなくなり、1階を閉めて2階で生活している実態があった。それで、商店街の人たちが、知恵を出し合い商店街の近くに大きくない集合住宅(ケアハウス)を作り、そこに移り住んで、店を若者たちに貸すことにした。そしたらユニークな店がたくさんできて客が集まるようになり、活性化に成功したという。
◆認知症グループホームは、『住まい』と『ケア・介護』の両面の保障。
人口大移動か・・・ 住み替え論か・・・
私は、「なるほど・・・」とすごく考えさせられました。私が所属する福)すこやか福祉会で、私も高齢者住宅(要介護の方が入居するもの)作りを計画・実行してきました。高齢期に住処を変えるということは、実はかなり実行されているのかもしれない。介護・福祉部門だけではなく、まちづくり・経済面・地域活性化にも、「住み替え」がキーワードとなっているということを聞き、「人口の大移動」という視点で日本社会を考え直さなければならないのかと勉強になりました。本当にそういうことが求められ、国民が納得し、幸せにつながっていくのだろうか??? じっくり考えてみましょう!
グループホームについてもいろいろ話していましたが、私の中では「住み替え論」が印象に残りました。
テープレコーダーに録音したのではなく、私のメモなので、表現が一部違っているものがあるかもしれません。また十分に伝えきれていない。大筋だけ了承を。