リハ職が介護の仕事を

リハ職が介護の仕事を            2016年2月15日分

 先日、長野県にある鹿教湯温泉病院に講演のために伺った。鹿教湯温泉といえば、古い記憶がよみがえる。訪問看護に関する制度がまだ整っていない30数年前に、東京下町で患者さんのお宅に訪問していたが、「脳卒中になって、長野の鹿教湯温泉病院に半年お世話になってここまでよくなったんだよ」「近所の人が鹿教湯温泉にある病院に湯治に行っているんだよ」などと、よく聞いたものだった。私の中では、比較的長期間、じっくりと温泉に入りながらリハビリをする病院で全国から集まってくるところかなあと思っていた。

山間のリハビリ病院
 松本から自動車で1時間弱。午後の時間を走った。松本では北アルプスの真っ白い山々を、久々に遠くから眺め「やはり北アルプスはすごいなあ」と思い、雪道を北東に進んだ。谷合の道をくねくねと走り、着いたのが鹿教湯温泉。昔のにぎわいがなくなってきたと地元の方が説明してくださったが、それでも温泉街の雰囲気があった。
 人口が少ないこの地域に、鹿教湯温泉病院が堂々と立っていた。近くに同じくリハビリを中心とした病院があり、正直「人口の少ないところにこんなにたくさんリハビリ患者が集まってくるのだろうか? 経営は大丈夫なのだろうか?」と余計な心配までしてしまった。

地域包括ケアと看護(医療)と介護
 この病院で働く看護師・リハ職員・介護職員などを対象として、私に与えられたテーマは、「地域包括ケアと看護(医療)と介護」であった。
 地域包括ケアは、厚労省が出した青写真があるわけではなく、それぞれの地域で作り上げるもの。この地域での地域包括ケアは、さてどのように? カギを握るのは何か? 病院の果たす役割は? この規模のリハ病院はどうなるのか? 難しいテーマばかりだった。私の知る限りのことを、そして私が考えていることをお話しさせていただいたが、それは他の地域の情報提供やヒントであり、主体は、本気になった現地の方々。

リハ職が介護の仕事も
 講演前後の看護職員の方との話の中でこんなことを聞いた。「うちの病院のリハ職の人が、この地域にこんなにたくさんのリハ職は必要ないかもしれない。介護職が圧倒的に不足しているのだから、半分リハ職・半分介護職として地域で必要な仕事をしていかなければならないかもしれない」と。なるほど・・・。そうかもしれない。これはリハ職だけではなく、どの職種でも、地域にとって(病院ではないですよ)“必要なサービスに従事するぞ”というような気構えが必要なのかもしれない。
 勉強になった。