医療・介護改革調整会議の設置
医療・介護改革調整会議の設置 8月5日分
8月末に『3改訂 訪問看護実務相談Q&A』(全国訪問看護事業協会監修・中央法規出版)という本が出版されます。私も大いにかかわりました。きょうは、その仕事の中で感じたことと、7月24日に厚生労働省に設置された『医療・介護改革調整会議』について述べます。
「全国訪問看護事業協会」とは
現在、私は社団法人「全国訪問看護事業協会」の事務局の仕事も一部しています。全国に5000ヶ所余ある訪問看護ステーションの事業者の団体で、日本医師会と日本看護協会がいっしょになって作り上げた団体です。この団体は、厚生労働省の老人保健課が指導・監督する役割となっています。厚生労働省はさまざまな政策展開のときに、訪問看護事業についてはこの団体を正式団体として認め、意見・データ収集などを行います。
訪問看護関連の全国的な団体は2つです。上記ともう一つは財団法人「日本訪問看護振興財団」。こちらは、日本看護協会が出資して作った個人加盟の団体です。
たった3万人弱の訪問看護師しかいないのに2つの全国団体があり、同じような研修会の企画や取り組みをしているのです。(そのことについてはまたの機会に)
私は、1995年(平成7年)に設立した「全国訪問看護事業協会」と縁があり、理事として種々の委員会ずっと活動してきました。この間は事務局の仕事としていろいろな動きを担当しています。来年(2010年)の診療報酬改訂の要望書案作り(そのための全国調査なども)、都道府県単位の訪問看護ステーション協議会交流会の準備や訪問看護事業推進のための諸々です。
『3改訂 訪問看護実務相談Q&A』という本
その一環でQ&Aの本の改訂の仕事をさせていただきました。事業協会の事業の一つに電話相談があります。全国の現場からあげられるQに対して答えるのですが、難しい質問・微妙な質問が多々あるのです。それを厚生労働省に確認しながら正確に答えていきます。その内容を本にまとめたものです。特に制度の解釈の内容が多いです。
この本は制度の改訂の度に出版しています。つまり、医療保険は2年に一度、介護保険は3年に一度の改訂なので、毎年のように改定が必要になるのです。
今回は、今年4月の介護報酬改訂を受けての改訂です。2000個ほどのQを分類・分析・選択し、450個ほどに絞込み、そしてA(答え)をみんなで精査していく作業です。4月から作業が始まり、やっと出版になります。担当したのは、常務理事の上野桂子さんはじめ、ベテランの訪問看護ステーション管理者さんたちです。
正確な制度解釈の内容ですので、活用してください。詳しいことは「全国訪問看護事業協会」に連絡を。(03-3351-5898かホームページを)
いつのまにか複雑怪奇な制度に
1992年(平成4年)に訪問看護ステーションが新しい制度として発足したときには、私は東京都第一号の訪問看護ステーション(北千住訪問看護ステーション)立ち上げの責任者でした。法律もさまざまな基準も全部読んで立ち上げていきました。
その時の制度は実にシンプルでした。そういうことに慣れない看護師からみても、受け手側の国民からみてもわかりやすかった。それが、17年後の現在はどうなっているか。今回のQ&A改訂の仕事してみてつくづく思いました。何と複雑で難しい制度になってしまったのでしょう!!と。
医療保険も介護保険も改訂のたびに、現場からの意見をまとめあげ事業者だけでなく国民の利益になるように制度の改善・変更を行ってきたのだと思いますが、それが積み重なり、複雑怪奇になっているように見える。同じような名称・内容の制度なのに二つの制度の中では条件が微妙に違っていたりするのです。頭がこんがらかってしまいます。
こんなに複雑になってしまっては、次のような心配がでてきます。
「ケアマネも訪問看護サービスをケアプランに入れることをためらってしまうのではないかしら」
「新人訪問看護師は制度の複雑さに落ち込んでしまう。看護をする前に覚えることが多すぎて・・・」
「制度の複雑さが訪問看護の人員不足の要因になっているのではないか」
「昨日は介護保険の訪問でしたから料金は・・・。今日は医療保険の訪問看護だから料金は・・・。とその説明をしても、国民は、わからないのではないだろうか」
2012年が同時改訂
これではいけないと私は深く決意しました。制度は国民にも誰にもなるべくわかりやすくしなければなりません。せっかくの制度が誰もためにもなりません。これを制度の枠組みも含めて変えられる可能性は、医療保険と介護保険の制度同時改訂の時。それは6年に一度で、次回は2012年なのです。
そんなことも関係するかどうか、7月24日に厚生労働省に『医療・介護改革調整会議』が設置されました。「医療と介護を担当する医政・老健・保険の3局が統一された方針の下で整合的な政策を立案・実施するために会議を設置する」としています。
現場の実情をきちんと反映させて、制度をよりよく、わかりやすくするために大きな変更も含めた提案をさまざまな場でしていかなければならないなあと思っているところです。きょうは訪問看護関連のことを述べましたが、他の分野も含めてです。みなさまも!!