医療依存度の高い子ども
医療依存度の高い子どもへの支援 3月15日分
前回のブログを読んでくださった方から、「元気ないの」と声をかけられました。心配をおかけして申し訳ありません。大丈夫です、元気です! 今も愛媛県の松山で空き時間にパソコンに向かっています。
旭川で見学した『小規模地域複合支援センター』(宮崎命名)
先日、旭川で講演したあとに、声をかけてくださった看護師さんがいます。「私、自分で会社を興しがんばっているんです。みんなができないことに挑戦しているんです。小児についてもがんばっているんですよ」と、いろいろ説明してくださいました。私は話だけではよくわからないからと、急遽見学をお願いしました。そうしたところ、快く受けてくださったのです。
そこは、認知症グループホーム(2ユニット・18名)(介護保険法)と、児童ショートステイ・児童デイサービス(自立支援法)と訪問看護ステーションがいっしょの建物にあり、連携しながら地域の方々を支えているところでした。養護施設などで勤務したことがある旭川の看護師さんが有限会社を作り訪問看護ステーションを立ち上げ、そしてグループホームなどを開設していきました。
このグループホームの特徴は、認知症の方の中でも医療依存度の高い人(経管栄養チューブが入っている人、がんなどの末期で痛みなどがある人、常時酸素吸入が必要な人など)を積極的に受け入れていることです。同じ建物に訪問看護師の集団がいることもあり、グループホームの看護師と連携して(小さな職場の同じ職員なので)できることです。グループホームという生活空間の中に違和感なく医療器具が置かれていました。印象的だったのは、がんの末期だという人が玄関先の椅子の上に横たわっているのです。みんなが出入りし声をかけてくれるその場所が好きで、人の動きの中にいるんです。目を瞑っているその人にそっと声をかけてみたら、目を開いて、しわくちゃだらけのすばらしい笑顔で私に応対してくれたんです。“この方が日ごろの生活でいつも笑っている。この方は満ち足りた顔をなさっている”と思いました。
医療依存度の高い子ども
2階に上がりました、そこは1階とは別世界の子どもの空間でした。小児の難病その他で医療依存度が高く介護・看護・支援が必要な子どものデイサービスやショートステイを行っているところでした。
そういえば、NICUで命が助かって人工呼吸器を装着した状態で暮らす子どもたちは、その後どうなっているのでしょう? 心配はしていました。NICUとは、新生児の集中治療室のこと。自分の力で呼吸ができない状態で生まれてきた子どもが、救命され人工呼吸器など医療依存度が高い状態で生きる。その子どもたちが一生涯病院に入院しているわけではありません。どこで誰の世話を受けているのでしょうか。家に退院したその子どもは地域の中で往診医師や訪問看護師・ヘルパーなど在宅ケアチームの支えで暮らしているのです。その家族を支えるサービスとしてデイサービスやショートステイを自立支援法で制度化はされているんですが、枠が狭い。行う事業者に対する報酬も高齢者の3割くらいです。成長する子どもが対象ですから、発達がわかり病気や障害がわかる人の、かなりの力量で個別支援が必要になります。それなのにこの報酬の額です。彼女たちナース集団はこのことに挑戦しています。
そのナースが写真を見せてくれて話してくれました。
この子は2歳。10万人に一人の染色体異常の病気の子ども。生まれてからずっと人工呼吸器をつけて生きている。悲しいのが父親の姿勢。「こういう子は自然淘汰されたほうがいい」といって積極的に生きることに支援することを拒否。はじめは訪問看護も拒否。しかし、母親は積極的。離婚になるかもしれない状況もありながら、その子は成長し、自力で食事をとれる状況になってきた。独特の体位支援(ポジショニング)が必要で、私たちも学びながら試行錯誤しながら行っている。でもその子が少しずつだけど成長とともによくなっているのよ。お父さんも少しずつだけど変化しているのよ!
私は、写真を見せていただきながら、『さすがプロ』と思いました。一律の支援ではなく、個別性を重視しながら独特の支援をしていて私が理解できるかどうかわからない支援方法を披露してくれるのです。
どうしてこういうことに日本の社会は重きを置かないのだろうか・・・。
地域の財産・善意を大事に そしてそれを次のステップに!
重度の障害を持った子どもの数は多くないかもしれません。だけど、どんな人でも地域で『育ち・暮らす』ことができるような支援が必要なことは当たり前です。私財を投げ打って一歩踏み出す彼女のような人には拍手です! そのことを国が、自治体が、制度が後押し、というよりは前に出て行うような社会がどうしてできないのだろうか。人間を大事にする・・・。
行っている人にも問題があるかどうかはよくわかりません。善意やプロ意識などを財産と思い、守り確実な地域の財産となるような動きをぜひみんなでやりたいですね。
書き始めは松山にいましたが、今は別な特急電車の中です。この間は全国行脚が多かったですが、これ以降はそうでもありません。さまざまにどうぞ声をかけてください。(2008.3.17)
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日本中を飛び回っていらっしゃるのですね。
お疲れ様です。
先生の書かれているとおり、医療依存度の高い子供たちの支援はほんとうにわずかしかないのが現実です。
命は助けたけど・・・後は親の責任?ではありませんよね。
ひとつの訪問看護STとして支えられる数は限られています。私たちの地域でも、小児は専門外だからと当たり前のように訪問看護すらも受け付けないSTはまだまだたくさんあります。
旭川の看護師さんのようにはなかなかできないかもしれませんが・・・
もっともっと小児が利用できる制度ができればと、願っております。
地域では、小さなことからはじめています。
どうか、応援してくださいネ。