新卒訪問ナース
新卒訪問ナース 2014年8月5日分
私は、この間ずっと「看護師は、20代で数年訪問看護の経験をしよう」といってきた。「医療モデル」の病棟看護だけなく、在宅での「生活モデル」での訪問看護の経験が、看護師人生にとって必ず役立つし、看護界にとっても大きく飛躍できることになると思っているからである。
しかし、「新卒看護師」つまり、卒業してすぐに訪問看護の現場に来ることについては、「ぜひ、その方向がいい」とはいってこなかった。長い期間は必要ないが短期間でも病棟経験が必要なのではないかと思っていたからだろう。
新卒ナースが訪問看護ステーションの現場に
つい先日「第2回きらきら訪問ナースの会」が開催された。訪問看護ステーションの管理者、新卒ナース、看護教員、学生など72名の参加で、実践報告とグループワークで大変実のある会だった。
数年前から『訪問看護の現場に新卒看護師を採用しよう。そして教育研修して立派に育て上げよう』という考えと実践が始まった。8年も前から意識的にきちんとしてプログラムでの受け入れを実施してきたのは、(株)セコムであろう。今回の実践報告で詳しく内容をお聞きしたが、試行錯誤しながら新卒訪問看護師を育てている。「病棟経験」をどう位置づけるかが大きな議論になるようである。
ここ3~4年、新卒看護師の受け入れを行っている訪問看護ステーションは増えてきた。といってもまだまだ二ケタの事業所だが、今後は取り組みたいと計画しているところが多々あるようだ。どのようなプログラムがいいのか、それが模索中である。あと1~2年で、現場で受け入れ可能なプログラムの開発がされるであろう。(全国訪問看護事業協会でも検討中)
時代が変わってきた
私も2年くらい前から「新卒ナースを訪問看護ステーションで受け入れて育てていこう」と現場の訪問看護師さんたちに掛け声をかけ始めている。その理由は、いくつかある。たとえば、“訪問看護をしたいといってまず病棟に就職した看護師たちがいつしか病棟から離れられなくなり(給与のことも関係するが)訪問看護に来ない”ので、一から育てよう。あるいは、もっと積極的に病棟看護を経験しないでも(しない方が)生活支援のプロとしてとても素晴らしい看護師に育成することができるのではないかなどということです。これまでは、現場は忙しくてゆとりがなくとても新卒を受け入れることは考えられませんでしたが、最近では「先行投資で受け入れていこう」看護師が社長の多角事業の会社で、「育成します」と自由裁量で取り組もうとしているところも見受けられます。
時代が変わってきたということだと思います。
風が吹くと変化が早い
そういえば、10数年前にオーストラリアで訪問看護師と同行訪問したのですが、その訪問看護師は30歳代半ばのイケメンの男性の訪問看護師でした。その彼は、病棟経験なしで訪問看護をずっとしているといっていました。それはオーストラリアで普通ですと。どうして病棟経験が必要なのですかとも。
どうして病棟経験が必要だと思っているのかをよく分析し、もしそれが必要なら何のために何についての研修(経験)が必要なのかをじっくり考えていく必要があると思います。何となくではなく。
「新卒看護師を訪問看護で受け入れるなんてとんでもない」とずっと言われてきたこの業界が風穴が開きはじめました。風が吹くと変化は早いかもしれません。「新卒看護師が訪問看護ステーションに就職は当たり前よね」と。2025年に間に合うように急いでいろいろ考え準備しよう。