東京・山谷で活躍する人々

東京・山谷で活躍する人々    5月5日分
 
日本の3大“寄せ場”って知っていますか。東京の「山谷」、大阪の「釜が崎」、横浜の「寿」です。日雇い労働者の町・簡易宿泊所が集まっている地域。私は、つい先日この東京の「山谷」を訪問しました。友人の山下眞実子さんが『訪問看護ステーションコスモス』を開設し運営しているのです。2000年から始めていて噂や話は聞いていたのですが、「一度勉強しに伺うね」といいながらなかなか実現しなかったのですが、やっと訪問できました。

『路上に生きる「老後」を看護師の立場から看る』――山谷地域の現在
 山下さんが書いた文章です。『高齢者は暮らしていけないー現場からの報告』(岩波書店・結城康博・嘉山隆司編著)の中の一章です。
 山下さんは、2000年6月に3人の看護師で訪問看護ステーションを立ち上げ、最初は利用者がいなくて閉鎖かと心配される状況だったが、現在は利用者220名で訪問看護師25名の事業所になっています。横浜の寿にもステーションを開設しています。
 その上、昨年2009年5月に宿泊施設『おはな』も立ち上げ、13名の入居者がいる。身寄りのない方々の支えになり、この地域で人生をまっとうできるように支援している。
 自宅訪問や宿泊所だけでなく、路上生活者の健康相談をボランテイアで行ったり、簡易宿泊所の一部屋一部屋を訪問して相談を受けること、また炊き出しなどの支援など多様な取り組みをしているのです。

熱意とネットワークに驚き
 全国訪問看護事業協会の仲間や大学教授など8名で視察に伺ったのだが、山下さんは、歩いて山谷を案内してくださった。今でも夜には80人程度の人が路上で寝るといういろは会商店街(屋根付商店街)、とはいえシャッター通りとなってしまった・・・。城北労働・福祉センターでの健康相談と娯楽室(日中約100名の路上生活者などが利用する空間)、無料診療、NPO法人山友会の活動、昔ながらの簡易宿泊所、そしてふるさと会の見守りつき宿泊所、そして先日の朝日新聞に大きく掲載されていたきぼうの家・・。山下さんは商店街の会長さんも、宿泊施設の方も行く先々の方と知り合いで、“顔パス”でどこにでも入れる。お蔭で私たちも普段見ること・出会うことができない方々に普段どおりの顔で出会えました。
 支援している方々に多数出会って感じたのは、どの人も生き生きとしていること、肩肘はっていなくて自然なこと。別な言い方をすれば、“淡々と、しかし熱く”です。それと、ネットワークというか、つながった支援しているのです。

看護師という専門職を見直した
 その中でもやっぱり山下さんたち看護師のみなさんの姿勢・実践力・熱意に圧倒されました。様々な支援団体がありながら、看護職だからできることがあることも実感しました。ある意味では特殊な地域。その真っ只中に入り込んでできる支援を精一杯、信頼関係の元に行っている姿に、一同圧倒された・・・。人が動く・人を動かすモチベーションってなんなんだろう?? 

今回、山谷を訪問し、ドヤ街山谷が少しずつ様変わりしていること、高齢者が多くなっていること、病人や要介護者が多いこと、サアポート団体がいろいろあってつながりあって支援していることなどを肌で感じることができました。何かあったかいもの・勇気を感じたということかなあ。