東日本大震災 その2 口での人工呼吸

東日本大震災 その2 口での人工呼吸     4月23日

 この間、3つの県(岩手・宮城・福島)、12ヶ所の市町、18ヶ所の訪問看護ステーションを訪問させていただきました。報告したいことがたくさんありますので、少しずつ書いていきます。

被災した人工呼吸器の方
 石巻のある訪問看護ステーションに伺ったときのこと。ここは、海岸線に事務所があったので流されてカルテも何もかもなくなってしまって、何からはじめればいいかまだわからないという状態でした。所長(管理者)さんに会うなり、
「あら、宮崎さんじゃないですか。私、宮崎さんのブログを毎回読んでいますよ」
「ええっ、そうなんですか・・・」
記憶障害の私は、この方と会ったことがあるのかどうかも定かではない。しかし、10日に一度の私のブログを読んでくれているということは、かなり私のことを知っているということ。顔が真っ赤になってしまいました。
 職員は全員無事とのことで一安心。お札が津波にのまれ泥まみれになっているのを水につけて泥を落としている箱をみながら、利用者さんの話になりました。利用者さんもかなりなくなったとのこと。
「人工呼吸器の方はいらしたんですか」
「3人いたんです。それがすごかったんです」
「どうだったんですか?」
「お1人は、無事で停電してもうまく他のバッテリーが動いてOKでした」

自動車のバッテリーで5時間人工呼吸器を動かした
 もう一人の方は、家が浸水したが、エアマットが救命具になって水に浮いて、それで家族が水の上をエアマットを引っ張ってご本人を移動させて、自動車のところまで連れて行ったという。停電で人工呼吸器が動かなくなり、そのままにすれば命はなくなるのですが、自動車のバッテリーにつないで5時間人工呼吸器を動かしたそうです。ガソリンが何とかもって、その後救助隊に助けられて入院したんです。スゴイ!

家族が口で一晩中人工呼吸をして、助かった!
「もっとすごいのはね、津波に流され、アンビュー(手動の人工呼吸)まで流されてしまった方がいたのよ。もちろん、停電で電気は使えないから普通はそこでおしまいよね。ところがご家族が交代で、気管切開(喉のところに穴が開いて直接気管に管を挿入している)のところに口で息を入れ込んで人工呼吸したのよ。『マウスtoマウス』ではなく、『マウスto気管』だわね。それを一晩実施して、翌朝救助隊に発見され搬送してもらって入院したのよ。なんと命が助かったのよ!!」
「ええっ!! スゴイ!!・・・・・」
私は全身に電気が走る衝撃でした。とにかくスゴイ! ご本人もご家族も。人間の生命力も。

テレビには出てこない生々しい話がどんどん出てくるのでした。

つづきは、また。                    4月23日記