東日本大震災 その11 自殺した方も・・・

東日本大震災 その11 自殺した方も・・・ 5月9日

 東京のグループホームで働いていた若い友人が、大船渡に帰省してそこで働いているといううわさと携帯TELの番号を聞き、大船渡を訪問する前日に電話してみた。元気な声で「わあー。宮崎さん! 命は助かったの。でも家は流されてしまったのよ」と話してくれた。そして当日うまく会うことができた。7~8年ぶり。少女らしさが残っていたこの方が、すっかり大人の女性になっていた。いろいろ話すうちに、こんな会話になった。

結納の前日
「ところで、あなた、結婚したの?」
「はい、いいえ。実はね、3月11日の地震・津波の翌日が結納の予定だったんです」
「ええっ! それで彼は大丈夫だったの?」
「はい。命は助かりました」
「じゃあ、結婚式は?」
「こんな状況なので、できません。家も結婚のために準備してあったものも全部流されてなくなってしまいました」
「ええっ。そうなの・・・。」
「でも、大丈夫です。籍だけ入れてこれからやり直します。生きているだけで十分です」
 なんとまあ・・・。準備してあったわずかばかりのものを「お見舞い」ではなく、「お祝い」として受け取っていただき別れた。

フィアンセもご両親も家も失くし・・・
 岩手で聞いた話。
「宮崎さん、悲しいことがたくさんあるんです。ある女性は、結婚直前だったのですがフィアンセと自分のご両親を亡くし、家を流され、そして自殺したんですよ。わからないじゃないですよね。自分だったら生きていられるかなあ」

妻と子どもを亡くし・・・
別な方から聞いた話。
「結婚し、待ちに待った子どもさんができて大喜び。2歳くらいになっていたかなあ。でも今回この津波で奥さんも子どもさんも亡くしてしまった。気の毒だなと思っていたら、自殺したっていううわさを聞きました。むごいねえ」

 何と悲しい話なのでしょう。私がちょっと聞いただけでもあるのですから、もっともっと悲しい話があるのでしょう。

            5月9日記