東日本大震災 その18 要介護でもふるさとで暮らせるように

東日本大震災 その18 要介護でもふるさとで暮らせるように 5月29日

 岩手で悲しい話を聞いた。海辺の町に住んでいる高齢者が高台にあるデイサービスに通っていた。午後の時間帯なのでちょうどデイサービスで過ごしていた。ところが大地震とともに大津波が海辺の町を襲った。そこに住み働いている若い人(息子や娘や嫁など)が家もろとも津波で流されてしまった。高齢者は帰る家と家族を失い、いくところがなくなり、しばらくデイービスに寝泊りしていたが、心身の疲労・落胆などで体調を崩し、入院となった。
 
帰る場がない
 入院治療が終わったが、退院するところがない。要介護の方は避難所での暮らしはご本人にとっても周囲の人にとっても厳しい。かといって入院需要が多く長期入院というわけにもいかない。そういう時には老人保健施設を利用することが多い。ところがその地域の周辺の老人保健施設は満員で空く見通しが立たないという。

北海道の老人保健施設に
「それで、その方、どうなったんですか」
「この周辺ではすぐに入れる老人保健施設はなく、北海道の老人保健施設にお願いして入所させていただいたようですよ」
「・・・・・」

 長い間、住み慣れたところから離れ海を越えて知っている人がいないところにいかざるを得ないか・・・。なんと悲しいんだろう。
 自宅は難しくても、せめて、慣れ親しんだ風、におい、音があるところに安心して住み続けられることはできないのだろうか。

介護付仮設住宅なども検討されているのかもしれないが、もっと多様に方策はあるかもしれない。そんなことを地元の訪問看護師さんたちと話し合っているところです。
             5月29日記