東日本大震災 その7 ご遺体の顔の泥をきれいに
東日本大震災 その7 ご遺体の顔の泥をきれいに 4月29日
盛岡・花巻から三陸海岸まで片道約2時間。向かう途中の車中でさまざまな話を聞かせていただいた。2日間同行してくれたのは、岩手県訪問看護ステーション協議会の副会長の方。その中で心に突き刺さった話がある。
ご遺体のいたみがはげしくなってきて
「事務所を津波に流された齊藤さんって、すごいんですよ。私も聞いた話なんですけれど・・・」
「昨年の東北・北海道ブロックの集まりのときに、マツケンサンバをやったあの方ですよね。衣装も風格もぴったりでしたね」
「そうそう。大丈夫と聞くといつも大丈夫と落ち着いているのよ。本当に大丈夫なのかしら? すごいというのはね、ご遺体が見つかると安置所に安置されるだけど、最近のご遺体は時間がたっているせいもあってか、かなりいたんでいるそうなんです。泥まみれになっているご遺体をご家族が見たときのショックを考えると、せめて顔だけでもきれいに拭いて整えて差し上げたいと、そのボランテイアをしているそうなのよ。いいえ、これからするといったのかな。とにかくそういうことみたいです」
「ご遺体の発見で精一杯で、整えまで手が回らないのかしら」
「よくわからないけれど、斉藤さんは自分の事務所のことを後回しにして、直後から釜石市の行政といっしょになってさまざまな活動をしてきたみたい。顔の整えは誰でもができるボランテイアではないでしょうからね。私たち看護職は、ついついやらせていただきたくなりますよね」
「ほんとね・・・」
再開
その光景が目に浮かび、忘れられなくなってしまった。そういえば斉藤さんにまだ確認していない。今度あったら詳しくお聞きしてみよう。
その斉藤さんが、「通帳を見てみたら、驚いたんです。収入はなくても確実に借金が引き落とされるんです。当たり前なんですけれどね・・・。ぼやぼやしていられないと、事務所再開です」と。
他の地域はではなく、被災地だからできる何かがあるかもしれません。それをいっしょに考えていこうと握手をして別れました。
まだまだ続きます。町の様子や、介護・看護サービスなどのついても順次書いていきます。 間をおかないで書いていきます。 4月29日記