生死学

生死学               2月15日分

 『よく生き よく笑い よき死と出会う』というテーマの講演を聞き、そして終了後、講師の先生とお話をする機会がありました。 アルフォンス・デーケン先生です。 ご存知の方も多いと思いますが、上智大学名誉教授・哲学者・神父であり、死生学の第一人者です。
講演の冒頭「私は、先日50歳の誕生日を迎えました。と同時に77歳でもあります」という。来日してちょうど50年になるといい、日本に骨をうずめるつもりだとも。生まれは、ドイツで、ヨーロッパ・アメリカなど各地で勉学し、そして日本へ。

死の4つの側面
 デーテン氏は、「生と死を考える会」を全国各地に立ち上げる協力をし、市民自らが“死”ときちんと向き合って考えることを啓蒙してきた。「死への準備教育(death education)」として、時間をかけて“死”と向き合うと、実は“生”、つまり“生き方”が変わることを語ってこられた。
 私は、10年位前にシンポジウムでお会いして、講演を聞き、とても共感し勉強になった。私自身の考え方・生き方にも影響を受けたような気がします。
 さて、今回の講演の中で、私が新たに気づかされたのは、死の4つの側面という話でした。
①肉体的な死(biological death)
 肉体が、臓器が死ぬこと。一般的には、これを“死”といっている。確かに生命体としての肉体は衰えもするし、死滅する。しかし、それだけが“死”なのだろうか?
②心理的な死(psychological death)
 「あなたは、身体は生きていても、心は生きていますか?」という質問に、はっとする人はいませんか? 生きるということは肉体だけではなく、心が生きている状態が“生きる”ということなのだそうです。では、“心が生きている状態”とは? それは、自問自答してみましょう。
③社会的な死(social death)
 人間は、社会的な生き物。会社員・親・子・夫・妻・職業人・町内会役員・・・。社会の中でそれぞれの役割を担っている。デーケン氏は、こういう例で説明した特養ホームにある男性が入居した。はじめは子どもさんが頻繁に面会に来た。父・祖父としての役割を担っていたでしょう。ところが数ヶ月間も誰も面会に来なくなった。その役割がなくなったのかもしれない。これは一種の社会的な死ではないだろうかと。
 私は、社会の中での役割は変化するが、その人が自分らしく生きる姿が続けられなくってしまうことが社会的な死ではないかと思って聞いていました。
④文化的な死(cultural death)
 人はただ食事を食べ排泄して“生命”を保持することが生きることではないのではないか。生命の質・生活の質を意識し、文化的な生活をすることが、“人が生きるということ”の一つの要素。音楽や芸術を享受し、おいしいものを食べ、心地よい会話をし・・・。そういう面で荒んだ生き方になっていないだろうか。というかそういう面で死んだ自分になっていないだろうか。

人が生きることを支援するプロ
 死ぬまでの時間を、人が生きることを支援することを仕事としている看護師や介護職、医師などは、ターミナルケアでも、ホスピスケアでも、緩和ケアでも、実は日々の支援でも、上記の4つの死のことを念頭において支援しなければならないのだと思います。
 いうまでもなく、『よい死』は、『よい生』そのものということだと思います。

笑い・ユーモア
 デーケン氏のステキなところは、『笑いとユーモア』のある人生を! ということです。講演の中でも、笑いがあふれ、ユーモアたっぷりなのです。人生に笑いとユーモアがあると豊かになる。おおらかになる。一度著書などに触れてみてください。生きるうえで、何か大事なヒントを感じられるかもしれません。

 私は控え室でデーケン氏と、私が昔書いた本『家で死ぬのはわがままですか』のこと、(「あの本のタイトルは刺激的だったですよ・・・」)とか、墨田区の仲間たちと構想を練っている「緩和ケアグループホーム」? ガン末期の方が住む、病院・施設ではなく、自宅でもない第3の居場所(いっしょに住む)などについて語り合いました。変わらぬパワーに圧倒されました。

ガルーダ便り
 来週の「ガルーダ・サポーターズ準備委員会」に向けて準備中です。入会者は毎日のようにFAXが届いています。どこでどう知ってくださったのかありがたいです。さまざまな情報や支援策も届いています。早くホームページを作って皆様と共有できるようにしたいと準備中です。もう少しお待ちください。
 現在、急いで検討しなければならないと把握していることは、携帯電話とパソコンを彼ら(来日のインドネシア看護師・介護福祉士候補生)の手元に無料化か低額で届けられないかということです。いい知恵があれば情報提供をお願いいたします。

生死学” に対して1件のコメントがあります。

  1. 寺内 美枝子 より:

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     宮崎さん、皆さん、こんにちは。
     宮崎さん、精力的に頑張っていらっしゃいますね、私も頑張ります。
     それと、まず、資金集めですが、全国から要らなくなった切手や葉書を募ってチケットショップに販売するというのはどうでしょうか?
     パソコンの事を調べましたが、レンタルでは長期的にみるとパソコンを買えてしまう金額(一ヶ月5千円・往復送料も3千円近く)がかかります。
     それなので価格.com - 中古パソコンなどで5千円くらいで購入してみてはどうでしょうか?パソコンもちゃんと調べないと中古購入は難しいです。どなたか、パソコンに詳しい方はいらっしゃいませんか?

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