精神障がい者323万人

精神障がい者323万人    7月25日分

 この大震災・原発事故で国の予算配分が大きく変わりそうだ。高齢社会・要介護者増大に向けて、少しでもよい生き方支援ができるようにと、来年2012年の医療保険・介護保険同時改訂に向けて考え・そのための動きをしてきたが、それがどうなるかが皆目検討がつかない状態である。

 先日、精神障がい者の訪問看護についての研修会に参加する機会があった。全国訪問看護事業協会が主催した連続5日間の研修会。その全体の企画などについて検討するために参加させていただいたのだった。それに参加して正直すごく勉強になった。
 私は、日本に訪問看護がまだほとんどない頃から無償で実践してきた一人。1978年からの実践。当時は「寝たきり老人」(身体障害高齢者)が主な対象者で、寝たきりにせずに起きて外に出て「普通」に自分らしく生きられるようにご支援していくことだった。その中に家で最期を迎える方々が多数いらして、心地よく生きて苦痛なくあの世にいけるようにすることが仕事だった。いわゆる在宅ターミナルケア。また医療器具を装着したまま退院する方の支援を始めたのは、1980年だった。人工呼吸器・経菅栄養・吸引など。

認知症の人200万人
 中々うまい看護・支援ができず悶々としたのは、認知症の方々の支援だった。家族がボロボロになり、病気になったり時に先に死亡してしまったりして情けなかった。何もできない「プロ」集団(医師や看護師)。認知症の人が日本の社会の大きな課題だと直感し、その根本的な支援方法のあり方を模索して、グループホーム作りに取り組んだのが、2000年夏から。その後、グループホーム6ヶ所(9ユニット)作りの責任者を行ってきた。私なりに答えらしきものを突き止めたかなという感じ。(『認知症の人の歴史を学びませんか』中央法規出版)
 認知症の人が現在200万人といわれている。お金持ちでも名誉があっても誰でもがなる可能性がある、人々に平等な状態像だ。記憶障害・認知障害になっても自分らしく生ききることができるようにすることが、日本のこれからの大きな課題だ。膨大な人数だ。

精神障がい者323万人!
 ところが、私は今回の研修で認識を新たにした。それは精神障がい者の人数が323万人だということだ。認知症の人は家族・親族・友人など周囲にたくさんいるし、とても身近だ。精神障がい者はどうしても特殊に見えてしまい、人数もそんなに多いとはまったく認識していなかった。
 それが認知症の人以上に圧倒的に多いとは・・・。若者も多い・・・。直感的に“高齢者の次は精神障がい者が大きな課題になるだろう”と思っていたが、実は、次の課題ではなく、現在の大きな課題なのである。社会的な支援策もまだまだ希薄である。
 大震災など大きな出来事はあるが、日本社会が腰をすえて取り組まなければならない大きな課題なのだと思う。