経管栄養ビジネス

経管栄養ビジネス       8月5日分
 
 今年の5月、「寝たきりアパート急増」「寝たきり家賃100万円」「看取りビジネス」という見出しで、中日新聞で連載された。(一部東京新聞でも)その中に、「訪問看護で不正請求か」というのがあった。中京テレビやNHKでも報道されたそうだ。長年訪問看護の充実発展の仕事をしてきた私としては、どういうことなのだろうと気になり詳細を調べなくては・・・とずっと思っていた。
 それが先日、全国訪問看護事業協会として、岐阜県の訪問看護師さんの協力を得て現地で詳細を聞き・見る機会をいただいた。文章で書けないことがいくつもあり、みなさんに詳しくお伝えすることができません。(どうしても知りたいという方は、別途連絡ください)
 新聞記事と見聞の中で少しだけ情報を共有しましょう。

入居条件が「要介護5」「経管栄養」「人工呼吸器使用」
 東京新聞(2010年5月7日)から抜粋すると以下のようだ。
「口から食事をとれない「経管栄養」の要介護者だけを対象に入居者を募り、アパート形式で自治体の監督を免れる自称『寝たきり専用賃貸住宅』が急増している。一人月約100万の入居費用の八割以上が介護保険と医療保険でまかなわれ、訪問看護の医療保険が不正請求されている疑いもあることが、本紙の取材でわかった」
名古屋市の医療系コンサルタント会社が愛知・岐阜で合計12ヶ所あり、約200名が入居しているという。
入居条件が「要介護5」「経管栄養」「人工呼吸器使用」など経口摂取ができない人となっていり、部屋は6畳程度一部屋で、家族と同居するわけではなく、一人で部屋に寝ていることになる。

料金100万円の内訳
看護・介護は誰が担当するかといえば、基本的に外からの在宅サービス(訪問看護がおおよそ一日3回、訪問介護が一日2回)である。
「入居者の利用明細などによると、1ヶ月992,000円。うち15万円は本人負担で、残りの842,000円が公費(介護保険24万円、医療保険502,000円)本紙調査で約40人について同様に確認できた」同新聞
介護保険の支給限度額を超える分について、主治医が定期的に機械的に「特別指示書」を発行して医療保険で請求している。「不正」と疑われるのが、「特別指示書」に関することで“容態の急変などのときに発行するもの”なのに、そういう記載なく定期的に発行していたことであり、訪問看護ステーション側は、それを受けて訪問看護していたこと。

経管栄養ビジネス

 不正かどうかということよりは、もっと深く難しい問題が隠されている。このことで誰が儲け、誰が損をしているのか。こういうことを実施してもいいのか。いってみれば、現在行き場のない「経管栄養の人」を食い物にしているように見える。本人も家族も困りきっている、そのことに目をつけ、法の合間をくぐってのビジネスである。“たまゆら”の火災事故で『貧困ビジネス』と騒がれたが、これは『経管栄養ビジネス』だと私は思う。

★このことについて、“命を張って”とまではいわないが、それほど詳細に情報を集め問題提起をしている方がいる。次回に! 
★もう一つ次回お伝えしたいことがある。それは、実際にこのアパートを訪問してこの目で見てきた! 気持ちはさらに複雑になった。次回に。