訪問看護依頼は、救急車出動から

訪問看護依頼は、救急車出動から            2015年1月15日分

 機会あるごとに、全国のさまざまな訪問看護や複合型サービスの現場の見学をさせていただいている。おもしろい発想で、おもしろく展開している方々がたくさんいるんです。

「そう甘くない」
 看護師自らが会社を立ち上げ、社長となり訪問看護ステーションやその他の事業を展開して、成功している人は多い。「年収〇〇〇〇円になったんですよ」と高額(私の感覚で)の所得を得ている人もいる。しかし、うまくいかず苦心している人、継続できなくなっている人も少なくない。
 今は、順調でいくつも事業を運営している看護師がいう。「そんなに甘くないわよ。うまくいっていると思っても一瞬で火の車にもなりかねない。ぼうっとした目ではすぐつぶれるよ」と。

モットー
 自分で起業している看護師に、「どういう努力をしていますか」と聞くと、比較的共通するのが、「どんな依頼も断らない」「依頼があったその時点から即対応する」というものだ。「あした伺います」ではなく、「では、きょうこれからお宅に伺がって相談しましょうか」という具合らしい。必要なら夜でも休日の訪問も受けるのは当たり前だとのこと。

ある社長訪問看護師の話
 ある社長看護師に聞いてみた。
「利用者はそんなに簡単に集まるもの?」
「そんなことありませんよ。はじめは相談や依頼が全然なく赤字続きだった。まあそれでもいいかと思って、あせらないでやっていこうとしていたが、そういう姿勢ではだめだということがあとでよくわかった」
「どういうこと?」
「目つきを変えて、本腰を入れて利用者確保に乗り出した。“どんな利用者でも、いつからでも、どこからでも受ける”と。宮崎さんが驚くようなこともやりましたよ」
「ええっ、どんなこと?」

救急車・・・
訪問看護って、救急車の人と仲良くなりますよね。それで聞いたのが、救急車で運ばれて、治療を受けたのはいいんだけれど入院の適応ではなく、どうぞ自宅に帰ってくださいといわれる人もいる。その時に自分だけで家に帰れない一人暮らしの人とか、入院するほどではないけれどまだ病状が回復しない人など、家に帰れないで困っている人がときどきいるんだそうです。病院の救急部の人も困ってしまうそうです。
それで、自分は、病院の救急部の人に「そういう人がいたら夜中でもいいので連絡ください。私がボランテイアで家に送り届けますから」とお話してあるんです。だってね。そういう人は、何らかの支援が必要な人かその予備軍なんです。自宅にお送りした翌日など再度訪問して詳しく状況を聞いてみると訪問介護や訪問看護が必要な人がいらっしゃる。あるいは、病状が落ち着くまで時々訪問してほしいなどと依頼されることもある。そこから訪問看護につながった人はかなりいるんです。

そうか・・・
 私は驚いた。自分の事業所の経営のこともあるかもしれないが、そこまで地域の中を見渡して、困っている人がいないか、何か役立つことがないかと動いているところがある。すごいなあ。