詩集『母とミルクキャラメル』
詩集『母とミルクキャラメル』 2013年1月25日分
古希
ハイ
先日
古希と記された門を通ってきました
六十歳最後の日
後のほうでギギーッと
ドアの閉まる鈍い音がしました
今までいきるという事典を広げ
何事にも臆せず挑戦したのに
古希という年齢
身体の力が素通りしてゆく
気持ちの糸が弛んでしまったんですね
一抹の寂しさが
ブルーのベールで包まれる
七十歳 まだ七十歳なのに
シャットアウトされたように
何んの募集もありません
先の見えない人生
小さい穴から
残された生き方を求め
明日という日に向かっている自分
かすみをくぐりぬけて
一歩
一歩前進あるのみ
リハーサル
今年になってから
お悔やみの袋が走りどうしだ
まんずたまげた
線香の匂いが消えねえでえ
明日も葬式だあ
極楽浄土雪のキップが
抽選で当ってる会員がいるそうだし
妹いわく
やっぱり姉っちゃん
生前葬したほうがいいんだ
一人で弔詞読んで
喪主挨拶してさ
それをビデオに納めて
誰が涙っこ流すか見られるし
お悔やみ少なかったら
請求するべし
供物や花にかこまれて
しばらく贅沢出来る
和尚さんだってあんまり
高くなかんべえ
まんず
リハーサルしてみっかあ
詩集が届いた
2012年11月の私のブログで紹介させていただいた岩手県北上市のあの方から詩集が届いたのです! 題名は『母とミルクキャラメル』。以下が作者の方へのお礼の手紙です。
詩集を送っていただきありがとうございました。お礼が遅くなってしまい申し訳ありません。読ませていただいてからお礼をお伝えしようと思い遅くなってしまいました。
詩集『母とミルクキャラメル』はとても良かったです! 読み終わった後、心がシーンと静かになっているのに何だか温かいものが残っているという状態でした。目に残っているのは庸子さんのあの家で、皆様が生きて生活してこられた数十年の姿です。庸子さんのお母様、お父様や地域の方の日々の暮らし・人々のつながりが伝わってきました。私も同じ東北(山形)の人間で、祖母や両親の生き方と重なり合って胸が熱くなる場面も多々ありました。
詩ということを私はあまり知りませんが、庸子さんの表現方法はとても独特で、鮮明で暖かい。飾らなく淡々と頭に浮かんだことを綴っているように見えるのですが、無駄な表現がなくきりりとしている・・・。
今の私がとてもいいなあと思った詩は、「古希」や「リハーサル」「くじけないで」「えらばれしいのち」です。こんなふうに表現なさる庸子さんの感覚に「ヘエイ」と感じ入っているところです。
私の疑問は、「詩を書いたことがなかった方が、どうしてこんなふうに書けるんだろう?」「たくさんの本を読まれる方なのだろうか?」「無から有は生まれないというが、庸子さんは自分の中から生まれたものばかりなのだろうか?」などということです。
うまく表現できませんが、詩や庸子さんととてもいい出会いだったと思います。詩というものに縁がなかったのですが、何だか私も書いてみたくなるような出会いだったように思います。どうもありがとうございました。
どうぞご自分らしく伸び伸びと生活なさってくださいね!
遠くからですが声援をお送りしています!
2013年1月
宮崎和加子