重介護・要看護者のグループリビング

重介護・要看護者のグループリビング(共同生活住居) 1月15日分
たくさんの方々からの新年のごあいさつ状ありがとうございました。その中で私のこのブログを楽しみに読んでくださっている方が全国にたくさんいることがわかり、とてもうれしく、がんばって書き続けなければと思っているところです。気負わずに好きなように書きますので、どうぞおつきあいくださいませ。
 最近、見学にいったいくつかの高齢者等が住む「自宅ではない在宅」の家で、共通している何かがありました。

福岡・大宰府の『プランダムール』
・・・訪問看護師がオープンした『重介護看護者の療養・生活のための豪華な家』・・・

 何気なく目にした新聞記事がきっかけで、2度訪問しました。それは、『看護師がオープンした24時間医療・看護体制を整えた在宅ホスピス住宅』というもの。予約なしで玄関に立った私は驚きました。中に入れていただいてさらにため息・・・。その家があまりに豪華だったからです。元は社長邸宅。広い敷地に車3~4台分の駐車場があり、塀や立派な門構えがしっかりしていてで外見からしても立派な家。玄関は吹き抜けで、シャンデリアがあり、真ん中に広めの階段。調度品も家具も豪華。1階に居室が数室、2階に数室で、合計15名の方が入居できる。個室もあれば2人部屋もある。入浴もリフトを設置し寝たきりでも普通の家の浴槽に入れるというものです。
 伺った日には、8人の方が入居中でした。よく歩く認知症の方、酸素吸入と吸痰が必要な要介護5の方、反応があいまいな経管栄養の人2名などで他の病院や施設で中々受け入れていただけない方や、ここが気に入って入居なさっている方など多様でした。ちょうど前日に人工呼吸器の方がここで安らかにお亡くなりになったとのことでした。
 印象的だったのは、がんを患っている方が、「ここは皆さんいい方ばかり。広い自分の家があったって、一人でいては寂しいだけでね」と、いいながら認知症の方とおしゃべりし見守っていました。 全く動けない方でも一日中ベッドの上に寝ているわけではなく、リクライニング式の車椅子で移動し、リビングでみなさんの談笑を聞きながらそこにいるのです。お話できなくても仲間の輪に入っているという雰囲気が伝わってきました。どことなくその方たちの表情が柔らかいように感じられました。療養型病棟などで、ベッドがたくさん並んで管がぶらさがって寝たままの生活を余儀なくされている姿と比べると、隔世の感があります。
 ここを作ったのは、訪問看護師の吉松泰子さんです。ご自分も若いときから数ヶ所のガンを患い、訪問看護ステーションや有料老人ホームを立ち上げ、そしてどうしても重介護・要看護の方が暮らす豪華な家(みんな、自分が住んでみたいと思うような)を作りたかったと。
ここは、介護保険上は、施設ではなく、「在宅」です。ですから、ここに入居している人は外からの介護保険の在宅サービスを受けることができます。実際に、訪問介護やデイサービス・訪問看護など大いに利用しています。その足りない部分や夜間帯のケアを、別契約で補い、結果的に24時間、看護師が常駐する形です。利用料は、1ヶ月約9万円+α(+介護保険の自己負担分) 写真をご覧になりたい方は、ホームページを。
 

群馬・石倉ホーム『和が家』
 看護系雑誌の連載の関係で訪問した群馬。そこで偶然10数年ぶりにお会いしたのが、ペインクリニック小笠原医院の小笠原一夫先生でした。在宅ケア・特にターミナルケアで全国的に有名な先生です。そこで見せていただいたのが、『石倉ホーム「和が家」』です。(NPO法人在宅福祉たらっぺ会)
 養蚕農家を改築して作った大きな家です。8人の方が入居していました。認知症の方が明るい茶の間でくつろぎ、床の間だったのかもしれない奥の畳の部屋にベッドがあり、そこに自分で身動きできない重介護の方が横になっていました。襖越しに茶の間の笑い声が聞こえていました。広い庭ではみんなで野菜も作っている・・・。
長い間、在宅ケアを実践してこられて、①施設ではない家を、②どんな対象者でも(認知症でも、がんでも・・)、③入所だけではなく、ショートもデイも、④病院のベッドの上ではなく「畳の上で死にたい」を実現する『共同生活の普通の家』として作ったとのことです。
 ここも、介護保険上は、施設ではなく「在宅」で、外からの介護保険の在宅サービスを受けています。ここは、結果的に24時間、介護職が常駐する形です。(もちろん、訪問看護が24時間カバーします) 利用料は、食事代など全部込みで、1ヶ月約10万円(+介護保険の自己負担部分)。写真をご覧になりたい方は、ホームページを。
        

◆時代が必要とする一つの形 
 重介護を要する人、医療ニーズの高い要看護の人の居場所が、今、日本で大きな課題になっています。厚生労働省が療養病床の縮小の政策を出し、その受け皿がはっきりしない状況だからです。そんな時代に、大型施設でも病院でもなく、かといって自宅ではない居場所での生活がさまざまに試みられています。医師や看護師・市民が中心になって地域の大きな家を借り切り、小規模の共同生活の場所での実践をしているところもかなりでてきました。
 大事なことは、看護職がそれにどう対応するかです。吉松さんのように看護師が私財を投じて作っているところが全国にいくつもあります。私の印象では、看護師が作ったところはその性格柄か、濃厚なケアを提供するところが多いです。それを行いたくて挑戦しているし、時に経営を度外視して良質なケアにこだわります。『雇われマダム』ではない『自分の城』ですから。制度上未整理な部分があり、どんな形に変化していくかわかりませんが、時代が必要とする一つの形ではあると思います。儲け主義で形だけを模倣するやり方だけは黙っていられません。お近くにありましたら、ぜひ、実際に見せていただき、市民といっしょに作り上げるような動きをすることを進めていきたいものです。

重介護・要看護者のグループリビング” に対して1件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

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    外形標準課税とは、事業所の床面積・従業員数・資本金など客観的に外部から判断できる基準を課税する基準とする方式 http://fascia.misterblackband.com/

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