東日本大震災 その16 介護職・介護学生不足・・・   5月27日

 岩手県のみなさんと話をして思ったのは、津波などで利用者さんや事務所の被害があった訪問看護ステーションと、ほとんど被害がなかったステーションでは、全く感覚が違っているようだということ。被害がないところも直後の一時期はガソリンや物資が足りないということがあったが、それ以降は普段どおりの生活に近づいているようにみえる。だから同じ県内でも「被災した海辺の地域はたいへんよね」と“他人事”と思えるほどの感覚のようなのだ。同じ県内でもテレビの画面でみるだけなので実感がわきにくいようである。
しかし、何だか福島は違う。福島は県内全体が多大な被害を受け、それがいつまで続くかわからないということ。
 
会津地方:自分たちも被災者
 津波とか原発の被害は、多くは海岸線沿いの地域(浜通り)が大きいわけだが、そういう意味では会津地方は被害が少ない。そう思っていた私は浅はかだった。会津地方の訪問看護ステーションの方から、こういわれた。
「原発近くの町から、町ごと数千人が会津地方に避難してきたんです。要介護の方も。だから私たちも急に対象者が増えてとても大変になっているんです。浜通りではないけれど私たちも被災者なんです」

郡山・・・避難所周囲が・・・
 原発関係で町ごと避難してきた。仕事もなく何をすればいいかわからない人も少なくない。若い人も少なくない。それでちょっとした犯罪などが起きているようで心配されている。警察の派出所も臨時で設置されるとか。 

福島・伊達など・・・
「近くの公園に数百世帯分の仮設住宅が建つことになった。その住民の方の健康管理や訪問看護をどのようにしていったらいいのか」
「交通の便の悪いあるところに仮設住宅を建設中なんだけど、申請が少ないようだ。自動車がないと移動できないような場所では、やはり住むのは難しいよね」

介護職員不足
「それよりもたいへんなのは、介護職員不足よ。実際4月に採用予定だった人からのキャンセルもあるようよ」
「介護専門学校の入学者の辞退が相つぎ、学校の経営もたいへんそう」
「これから福島の介護はどうなるのだろうか。若い介護職が担っている部分が多いので、若い人に無理やり被爆が心配されている福島で仕事をしてくれというのもどうかと思うしね・・・」

 そうか。そういう状況なのかと、大震災・原発事故直後ではわからなかったことが多様におきていることを知った。

            5月27日記