在宅ケア学会

学会に参加するのはずいぶん久しぶりだった。今回、『第29回在宅ケア学会学術集会』の教育講演を依頼された。私にいただいたテーマは、『パイオニアからみた現在の在宅ケア』。このごろはほとんど講演を受けていないのだが、生きている証拠にたまにはお受けしようと鎌倉に出かけた。

 そもそも‶私はパイオニアと呼ばれる存在なのだろうか?”

自覚的には全くその意識はないが、1978年から訪問看護の実践をしてきたことは確か。まだ訪問看護という言葉すら定まっていないし実践もほとんどなかった時期から実践し文章化し、制度化への役割も少しは果たしてきたと思うので、そのテーマで「まっ、いいか」と。

さて何を講演しようかといろいろ考えた。そして在宅ケアが課題になってきた30年前、いや日本で訪問看護が始まった約50年前からのことを少し振り返りつつ、現在の在宅ケアについて語った。その時に、30〜40年ほど前から在宅ケアの充実を念頭に訪問看護を実践してきている全国の仲間に現在の在宅ケアの評価を電話でインタビューしてみた。それがすごく面白く大まかな現状把握ができたように思う。

「あなたの地域の在宅ケアの充実度はどのくらいか。地域住民の立場から見て100点満点で何点ぐらいか。評価基準はいい加減でざっくりで感覚で。そしてその足りない内容は何かを教えてください」というインタビュー。

突然の電話であれこれ話したいことが多々あったがそれを控えてひたすら答えてもらった。合計7名の方。(九州長崎さきから岩手までの頼もしい7人)

そうしたところ、「80点ぐらいかな」と答えた方は1名。その地域で素晴らしい事業・実践をしつつ、多職種協働の姿勢で多職種・多事業・行政との連携に心血注ぎ在宅ケアの充実に力を注いできた方だ。「だけどね、私の〇〇市はそれなりに良くなってきたけれど、隣の市町村を見てみると30点くらいのところも少なくないよ」という声だった。

7名中5名は、「うちの地域は、65点ぐらいかな」という。いろいろ聞いてみると、現場感覚でおおよそ65〜70点くらいだという。地域住民(一般市民)から見ると、がん・認知症・神経難病など生きて生活していくことが難しい状況の時に、それでも自宅で暮らし続けたいと希望してもそれを叶えることができる地域はそのくらいのようである。そうできない場合は、‶病院”‶いわゆる施設”‶ケア付き〇〇”他。

「無理よ」「在宅の限界」といわずに、あくまで例外でもいいのでその方々の希望する場で希望するケアを受け生きていくことを支援したいものです。

「在宅ケアの充実にとって、不足していることは?」についてはたくさんの意見が出された、堰を切ったように! ここでは述べませんが学会では9項目にまとめて発表しました。こういうことを地域のみなさんと語り合い考え合い取り組んでいかなければなりませんね。私もなかなかできていない状況です。

またの機会に! どこかで!

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